2人の小学生の子供と理系な夫と暮らしているHIROKOです。

今までたくさんの猫を飼ってきました。

 

私の愛する猫は、17歳で胆管の炎症によって亡くなりました。

 

ある日黄疸に気づき、そこから始まる闘病生活。

 

確かに老猫ですから寿命と思って諦めもつきやすかったとは思います。

しかし愛する猫が突然の病気で亡くなったことに変わりはありません。

 

 

どのような経過を辿っていったのか、

肝臓疾患を患う猫ちゃんをお持ちの方に、少しでも参考にしていただけるなら幸いです。

 

突然訪れた異変

 

我が家の愛猫チッチが16歳のある日のことです。

 

チッチを撫でていて、耳の中が黄色いことに気づいたのです。

 

 

よくよく見れば、目のふちも黄色い。

私は体を掻き分けて地肌を見ました。

 

地肌は想像通りの色をしていました。

 

チッチは頭のてっぺんと尻尾だけ三毛の模様がある以外は真っ白な猫でしたから、

本来は地肌も肉球も綺麗なピンクのはずでした。

 

黄疸

 

私は絶望的な気持ちになりました。

「黄疸だ…。」

 

猫に黄疸の症状が現れるとき、予後は非常に悪いのです。

 

私は急いで嫌がるチッチをキャリーバッグに入れ、動物病院へと急ぎました。

 

チッチをひと目見て、先生は言いました。

 

「嫌だな。この黄疸。」

 

肝臓になんらかの異常があるということです。

血液中のビリルビン濃度が上昇し全身の皮膚、粘膜に沈着する状態が黄疸です。

 

 

古い赤血球を破壊する時にできる黄色い色素をビリルビンと言い、

それが血液から肝臓に運ばれ胆汁の成分になります。

 

 

最終的には尿や便として体外に排出されます。

 

肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、症状が出た時には手遅れになっていることが多いです。

 

先生はすぐに血液検査をし、エコーで肝臓を見てくれました。

 

「胆のうが膨らんでいます。

ウイルスや細菌、癌や結石などの原因で

胆汁の流れが悪くなっていると考えられますが、腫瘍は無いと思います。

 

肝臓疾患には様々な理由があります。

 

その原因を治すことで肝臓が正常な状態に戻るのですが、

原因を探るためには回復開腹手術をしなくてはいけません。

 

若ければ手術したいところですが、もう16歳ですから…。」

 

覚悟をしてください、と宣告される

 

私は涙が溢れました。

 

「じゃあ、これからどうすればいいんでしょうか?

死ぬのを待つしかないんですか?」

 

 

理解していたことですが、やはり感情が波のように押し寄せます。

 

 

「毎日薬を飲ませてください。ウルソという薬です。胆汁の流れをよくする薬です。

それと少し痩せてますから、食事をしっかりさせてください。」

 

 

「3カ月ほど前から痩せてきてたんですけど、歳だからと思っていて。

もともと食べ物にうるさくて食も細い子で、

若くて健康なときでも2,6㎏ほどしかなかったんです。」

 

 

「そうですか。厳しいことを言いますが、覚悟はしておいてください。

チッチちゃんの好きな物を、たくさん食べさせてあげてください。

 

もし食欲が無いようでしたら、高栄養食がありますから、

それを食べさせてみるのもいいですね。」

 

闘病生活

 

その日から、2週間ごとに診察と薬をもらうために

チッチの通院生活が始まったのです。

 

寝る前にチッチに薬を飲ませるのですが、これがまた大変でした。

 

水で少し練り、指先に付けます。

 

チッチの頭を後ろから抱え込み、指先を口の横から滑り込ませ、

奥の歯茎に薬をこすりつけます。

 

それが毎日続くのですから、

夜になるとチッチは私のそばへと寄ってこなくなりました。

 

 

家では黄疸でだるいのか、一日中眠ることが多くなりました。

 

食事と水を飲むときに起き上がるだけです。

 

私はチッチが大好きなかにかまスライスを買い込み、

チッチのウェットフードに乗せてあげました。

 

かにかまスライスのおかげか、チッチの食欲は前より少し持ち直したようでした。

 

この調子なら大丈夫。

私は安心しました。

 

どんどん痩せていく…

 

しかし2週間後の診察で、体重は2㎏になっていたのです。

 

「前よりもたくさん食べていたんですけど…。どうしてでしょうか。」

 

「一応甲状腺の検査と糖尿病の検査もしてみたいところですが、どうしますか?」

 

「はい、お願いします。」

 

 

結果、チッチは甲状腺も糖尿病も異常はありませんでした。

ビリルビンの数値は相変わらず高いままです。

 

この状態を続けていくしかありません。

 

私は病院で「ヒルズ」のa/d缶を購入しました。

これは、病後や食欲不振で栄養が必要な時に与える高栄養食です。

 

家に帰ってそれをチッチにあげると、

どういう訳か気に入ったらしく、とてもたくさん食べてくれました。

 

 

しばらくはこれでいける!

 

 

念のため病院では1缶しか買っていませんでしたから、

近くのホームセンターに買いに走ったのですが、

病院で買う方がよっぽど安かったのには驚きました。

 

 

しかしa/d缶も1週間も持たずに飽きて食べなくなりました。

 

試行錯誤の連続

 

私はスーパーへ行って鰹の刺し身を買いました。

これを水煮にしてみよう。

 

これだったらチッチは絶対に食べてくれる。

私は確信していました。

 

 

ただひとつ不安だったのがイエローファット(黄色脂肪症)でした。

 

マグロ、鰹、サバ、アジなどの青魚を常食することで発症しやすく、

下腹部に脂肪の塊ができてしまい痛みや熱を引き起こすのです。

 

 

市販のウェットフードにはこれを防止するためにビタミンEが添加されています。

 

念のため、猫のおやつであるスープを買って(ビタミンE入り)

それで鰹を煮ることにしました。

 

 

もしイエローファットになるとしても、きっとチッチの寿命が尽きる方が先です。

 

杞憂なのかもしれませんが、

私はそれでもビタミンEを入れないと気が済まないのでした。

 

便秘

 

チッチは喜んで鰹を食べてくれました。

よし、これでしばらくいける!

 

こんな綱渡りのような日々は、7ヵ月に及びました。

 

この間に重度の便秘にもなり、

便が詰まってくると病院へ行っては先生に出してもらいました。

 

先生はお腹の上から腸に詰まった便を探り、

指で押しながら肛門の方へ便を移動させます。

 

 

そのうち私なりに練習をして、チッチの便を出してあげられるようになりました。

 

最後の通院時、体重は1,9㎏を切っていました。

 

食べることをやめてしまったチッチ

 

最後の頃は、a/d缶をシリンジ(注射器)で強制給餌をしていました。

 

チッチはシリンジでa/d缶を食べるのがお気に入りでした。

不思議な子です(笑)

 

 

ある日いつものようにシリンジでa/d缶をあげると、

一向に飲み込もうとしないために

口からa/d缶の中身が流れだしました。

 

もう一度試すとチッチは顔を背けました。

嫌な予感がしました。

 

数時間後、もう一度試しましたがやはり同じでした。

私はかにかまスライスをチッチの前に置きました。

 

 

チッチはペロッと舐めるだけです。

 

 

ああ、いよいよだな。

 

 

私はとっくに覚悟を決めていたはずなのに、

泣くのを我慢できませんでした。

 

人間もそうですが、動物は食べなくなった時が最期の時です。

 

 

あとは死に向かっていくだけです。

 

死を待つだけの日々

 

その日以来、チッチは水以外を口にすることはやめてしまいました。

 

点滴をしたところで延命できても数日です。

私は延命はしないと心に決めていました。

 

 

日に日にチッチは衰弱していきました。

それでも自力で水を飲み、トイレにいきました。

 

当時私は昼の4時間だけパートをしていました。

 

家を出るとき、私が帰って来るまで待っていてね、

と毎日チッチに言いました。

 

 

子どもたちと私は毎晩泣きました。

 

ただ死を待つだけの日々。

 

何もできない苦しみ。

 

胸が締め付けられるように辛いものでした。

 

 

 

チッチはとうとう歩けなくなりました。

私はチッチ用の毛布にトイレシートを敷き、そこにチッチを寝かせました。

 

夜は私の枕元に寝かせ、朝になるとチッチを1階に運びます。

 

常に誰かの目があるところにチッチを寝かせました。

 

たまに体の向きを変えたり、脱脂綿に含ませた水で口を濡らしてあげます。

 

 

その頃から、チッチからは酸っぱいようななんとも言えない匂いがし始めました。

これが死にゆくものの匂いなのだろうかと思うのでした。

 

お別れを言いに来た?

 

その夜、不思議なことがありました。

 

主人が目を覚ますと、

動けないはずのチッチが胸の上に座って主人をじっと見ていたそうです。

 

主人が撫でてやると、しばらくしてチッチは主人の上から下り、

 

隣で寝ている子どもたち

(その頃はチッチと寝たいと子どもたちが言い、家族全員で寝ていました)

 

一人ひとりの顔を覗き込むようにしてから、私の枕元にある自分の毛布に戻ったそうです。

 

 

主人は「最期のお別れをしてるんだな」と思ったそうです。

 

命が終わる日

 

食べることをやめてから5日目。

 

チッチは私が仕事から戻ってくるまで待っていてくれました。

 

夕飯を食べて、チッチの周りに集まり私と子どもたちはテレビを見ていました。

 

するとチッチが小さく鳴いたのです。

チッチの鳴き声を聞くのは5日ぶりです。

 

 

子どもたちは大喜び。

 

私はチッチを胸に抱き、ソファに座りました。

 

チッチ、いよいよお別れなんだね。

 

 

17年前、ペットショップの「もらってください」

の紙が貼られたゲージに入れられた野良の子猫の兄弟たち。

 

最後まで残ったチッチは、

ガリガリに痩せて目だけが大きくまるで宇宙人みたいだったね。

 

 

「この子、誰にももらわれなかったらどうなるんですか?」

店員は言い辛そうに答えました。

 

「保健所に連れて行くことになりますね。」

私はそれを聞いてチッチを連れて帰りました。

 

 

4回の引っ越しの時も、チッチは一番大事な荷物だったよ。

 

ツンデレで、猫らしい猫だったね。

 

実家の猫が亡くなって悲しかったあの時、

嫌がることなく抱かせてくれたよね。

 

チッチなりに慰めてくれたんでしょ?

 

もうすぐ冬だよ。

 

冬になるといつも私の布団に潜り込んでくるから、

私はいつも冬になるのが待ち遠しかったんだ。

 

私に体をピタッとくっつけて寝るんだよね。

 

 

もうちょっと頑張って欲しかったけど、チッチはもう十分頑張ったよね。

 

今日だって、私や子どもたちの帰りを待ってくれたもんね。

パパも早く帰ってきてくれるといいんだけど。

 

じっと私を見上げるチッチ。

 

最期にその目に私が映って本当に良かった。

 

どうか独りで死んでいくのだけはやめてね、と何度も約束したのですから。

 

あれほど抱かれるのを嫌がったチッチは、

今はもう力なく私の腕の中にいます。

 

 

チッチは口をパクパクさせました。

 

「ほら、チッチが死んでいくよ。2人ともちゃんとお別れしてあげて。」

 

その時、リビングのドアが勢いよく開き、主人が飛び込んできました。

 

 

「さっき自転車で走ってたら、チッチの鳴き声がしたんだ。

だからもう…。でも間に合った!」

 

 

チッチは口をモゴモゴさせていましたが、

次の瞬間その口を大きく開きました。

 

瞳孔が開いて黒くなった瞳は、もうどこも見ていないようでした。

 

 

3回大きく息を吸うと、チッチは動かなくなりました。

 

 

「チッチ!チッチ!ありがとうね!愛してるよ!」

 

私たちは口々に叫び、お別れを言いました。

 

それから…

 

娘は案外立ち直りも早かったのですが、

私と息子は折に触れては泣きました。

 

それでも、2カ月もすると泣くこともほぼなくなり、

チッチの話を笑いながらできるようになっていきました。

 

 

そう言えば、チッチが亡くなってしばらくは、家中で不思議なことが起こりました。

まるでチッチがそこに居て生活をしているようでした。

 

 

昨日、チッチが亡くなって1年の命日でした。

 

小さな骨壺と写真立ては、娘がせっせと作った折り紙の花に埋もれて、

今もリビングの棚に飾られています。

 

 

チッチ、子どもたちに動物を慈しむ心を授けてくれてありがとう。

 

 

どんな時も私のそばにいてくれてありがとう。

 

 

昨日、誰も居ない2階で「カタン」と音をさせたのはチッチかな?

 

 

子どもたちは顔を合わせて笑っていたよ。

 

 

 

 

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